2018年5月22日
コンベヤの操作において、ほんの少しの動きや変化であっても、そのためにベルトにミストラッキングが起きると、いくつかの最悪な結果がもたらされることがあります。ローラーやプーリの位置ずれ、スプライスの誤った取付け、または物質の蓄積など、ベルトのミストラッキングの原因は複数あります。注文履行のためにフルスピードとフルキャパシティで作業しなくてはならないピーク時は、このような不具合が生産性に重大な影響を及ぼす可能性があります。そして、ベルトが迅速かつ正確に調整されないと、後で修復が困難な損傷をコンベヤに与える可能性があります。
Flexcoは、ベルトのミストラッキングの要因を常に鋭敏に監視し、適切な処置を講じて迅速に不具合の評価と対処を行うよう推奨しています。慎重に注意を払わないと、ミストラッキングしたベルトは以下の6つの潜在的な問題につながる可能性があります。
- ベルトの傷み
ベルトがトラックを外れて構造物に連続的にぶつかると、ベルトの損傷は避けられません。これはベルトが薄くなるまで層を削ってしまったり、ベルトの全体的な幅を減らすことにつながります。時間の経過とともに、ベルトが運ぶことができる材料の量を減らし、生産量に影響を与えることになります。
- 構造の受難
この摩擦はベルトに損傷をもたらすだけでなく、ミストラッキングしたベルトが接触している構造物にも重大な損傷を与えることになります。
- 材料の紛失
ミストラッキングしたベルトは、幅が減ってしまうリスクがあるだけでなく、運べる材料も減らしてしまいます。これは材料が周辺に漏出する危険性も意味します。これにより、生産性と収益性が失われることになります。
- 安全の犠牲
材料の漏出はコストがかかるだけでなく、危険を伴います。従業員は材料が落下してくるリスクと、予期せぬ積み上がりによる危険にさらされます。極端なシナリオでは、ミストラッキングしたベルトが、構造を擦る摩擦によって発火源となることさえあります。
- 罰金
ミストラッキングしたベルトの本来の安全性や構造リスクのために、このような状況を回避するための規則が設けられています。たとえば、米国ではMSHAが30CFR 75.1731規約を制定し、「コンベヤベルトは、ベルトが構造物や部品に擦れないように正しく配置されなくてはならない」と明確に述べています。これらの規則を遵守しないと、高価な罰金および/または作業停止につながる可能性があります。
- DIYの惨事
ほとんどの作業では、コンベヤを丸ごと交換したりオーバーホールしたりすることは現実的ではありません。そのため多くの人が自分でできる解決策や一時的な修理を行い、結果的に問題を悪化させてしまいます。コンベヤにサイドローラーを取り付けることは効果的ではありません。なぜならベルトは押すのではなく引っ張ることを好むので、物理的な力がベルトに作用するのです。 摩擦を伴う解決策としては、ベルトの方向と比較してローラーをゆがめることは効果的な修理になりますし、1つの縁の張力プロファイルに影響を与えて、ベルトをより高い張力から自然に「離れる」ようにすることも効果があります。
理想的な解決策
実行可能な解決策の中では、現場試験により、構造の配列ができない場合は摩擦と張力両方の組み合わせがベルトをトラックに戻す最良の方法であることを実証しています。多くの機器メーカーは、ベルトの走行に対して相対的に旋回またはそれる縁ローラーを横に備えたスチールリターンローラーを提供しています。この方法の問題は？ベルトの淵が大した効果もなく重い力でローラーにぶつかるため、ベルトの淵に大きな圧力がかかります。この方法は、ローラーに大きな力を生じさせ、ベルトに損傷を与える可能性があります。
大きな圧力が加わるのを避けるために、Flexcoでは、摩擦を生み、ベルトの張力プロファイルを変更する「ピボットおよびチルト」設計のトラッカーを選択するよう推奨しています。ピボットとチルトの両方のメカニズムが同時に作動するとき、ベルトをコンベヤの中心に戻すのに3倍以上の有効性があります。
ベルトのミストラッキング問題が起きている現場には、数多くの手軽なソリューションがありますが、実施するソリューションがベルトをさらに長期的に損傷から保護することを確認する必要があります。
執筆者：ケヴィン・フェイルズ、プロダクトマネージャー
フェイルズ氏は、ベルトコンベヤ製品（BCP）ラインを管理し、製品開発とエンジニアリングを、新製品のコンセプトと既存製品の市場要件についてのガイダンスと共に提供しています。また、彼はBCPラインをサポートする技術および販促パンフレットの製作も率いています。フェイルズ氏は、グランドバレー州立大学をマーケティング学士号で卒業し、現在はウェスタンミシガン大学で経営学修士号の取得を目指しています。